こんにちは。ツクリエの古里です。
建築家と家を建てる、と聞くと、どこか遠い話に感じられる方が多いように思います。打ち合わせでは専門用語が飛び交うのではないか、こちらの希望を言い出しにくいのではないか、図面を見せられても判断できないのではないか。私たちのところへご相談にいらっしゃる方からも、そうした不安をよくお聞きします。
私たちが取り扱っている design casa(デザインカーサ)は、建築家が設計を手がける商品です。以前のブログでは、工務店である私たちがなぜこの商品を選んだのか、設計がどう進むのかという全体像をお話ししました。今回はその一歩内側に入って、打ち合わせの席で実際に何が起きているのか、図面がどんな順番で形になっていくのか、そして住まい手がどこでどう関わるのかを書いてみます。
結論を先に申し上げると、建築家と建てる家は、特別な知識がなければ進められないものではありません。必要なのは、ご自身の暮らしを言葉にしていただくことだけです。そこから先を図面に翻訳するのが建築家の仕事で、その図面を現場で成立させるのが私たち工務店の仕事です。薩摩川内市・姶良市で家をお考えの方に、その役割分担が伝わるようにお話しします。
この記事のポイント
- 建築家との打ち合わせは、要望の提出から始まるのではなく、今の暮らしで困っていることを言葉にする作業から始まります。
- 図面は基本設計から実施設計へと段階的に細かくなります。どの段階で何を決めるのかを知っておくと迷いが減ります。
- 住まい手は希望を遠慮なく伝えてよい立場です。叶わない要望も、理由を共有できれば別の形で解決できることが多くあります。
- 設計と施工の両方に責任を持つ体制だからこそ、図面の意図を現場で崩さずに形にできます。見えない部分の品質はここで決まります。
建築家との打ち合わせは、何から始まるのでしょうか

最初の打ち合わせで、私たちは図面を広げません。まずお聞きするのは、今のお住まいで困っていることです。朝、家族が同じ時間に洗面所へ集まって渋滞してしまう。洗濯物を干す場所まで遠回りしている。来客があると荷物を隠す場所がない。そういう具体的な不満こそが、設計の出発点になります。
「こんな家にしたい」という理想像から入ると、どうしても雑誌やSNSで見た風景の話になりがちです。憧れの写真を並べただけでは、その家でご家族がどう動くのかが見えてきません。困りごとから入ると、暮らしの動きが先に立ち上がります。建築家が設計で解こうとしているのは、まさにこの動きの部分です。
ですから、初回でうまく話せなくても心配はいりません。むしろ、整理しないまま持ってきていただいたほうがありがたいのです。言葉にならない違和感を、質問を重ねながらほどいていく。その時間が、あとの打ち合わせをずっと楽にしてくれます。
この段階では、土地が決まっていなくてもかまいません。暮らし方の方向が見えてくると、どんな土地が合うのかも逆算できるようになります。
最初の提案は、どこを見ればよいのでしょうか

聞き取った内容が建築家に渡り、しばらくすると最初の提案が返ってきます。平面図と、建物の見え方が分かる資料が揃う段階です。ここで多くの方が、間取りの部屋数や家具の置き方といった細かい部分に目を向けられます。もちろん気になるところではあるのですが、この段階で見ていただきたいのは、もっと大きな骨組みの部分です。
見ていただきたいのは三つです。一つ目は、建物が敷地のどこに置かれているか。道路からの距離、隣家との関係、庭や駐車スペースの取り方で、暮らしの印象は大きく変わります。二つ目は、光と風がどこから入る計画になっているか。三つ目は、家族の動きがどうつながっているか。
この三つは、あとから変えるのが難しい部分です。逆に、収納の棚割りやコンセントの位置、壁の仕上げなどは、後の段階でいくらでも調整できます。先に決めるべきことと、後で決めればよいことを分けておく。それだけで、打ち合わせの疲れ方がまったく違ってきます。
そして、提案が気に入らなかったときは、遠慮なくそうおっしゃってください。最初の提案は結論ではなく、話を具体的にするための材料です。「この部分は好きだが、こちらは違う」と言っていただけるほうが、次の提案の精度が上がります。
図面はどんな順番で形になっていくのでしょうか

図面は一度にできあがるものではありません。大きく分けると、基本設計と実施設計という二つの段階を通ります。この順番を知っておいていただくと、「今は何を決める時間なのか」が分かり、打ち合わせの見通しが立ちます。
基本設計は、家の骨格を決める段階です。建物の配置、階数や屋根の形、部屋の並び、窓の位置と大きさ、おおよその断面の高さ。平屋をご希望の場合は、屋根の形と軒の出し方がこの段階でほぼ決まります。ここで決まったことが、そのあとの工事費にも、住み心地にも、いちばん大きく影響します。時間をかけるべきところです。
実施設計は、その骨格を工事ができる情報に翻訳していく段階です。図面の枚数が一気に増えます。柱や梁の位置と寸法、断熱材の種類と厚み、換気の経路、電気の配線、建具の寸法、床や壁の仕上げ材。打ち合わせの中身も、暮らしの話から仕様や品番の話へと移っていきます。
この段階で大きな間取り変更を入れると、構造や設備の計画を広く描き直すことになり、工期にも費用にも跳ね返ります。だからこそ、基本設計のうちに疑問を残さないことが大切です。少しでも引っかかるところがあれば、その場で口に出していただきたいと申し上げているのは、このためです。
住まい手は、どこまで要望を伝えてよいのでしょうか

「建築家の先生に失礼ではないか」と気を遣われる方がいらっしゃいます。これはまったく不要な心配です。むしろ、どんどん言っていただきたい。設計は住まい手の暮らしを形にする作業ですから、材料をお出しいただかないと進みません。
大事なのは、要望そのものよりも、その理由を添えていただくことです。「対面キッチンにしたい」というご希望だけでは、形の指定で終わってしまいます。「料理をしながら子どもの様子を見ていたい」という理由まで伺えると、対面キッチンのほかにも解き方が見えてきます。壁を一枚抜く、床の段差を変える、視線が抜ける位置に窓をつける。理由が分かれば、選べる手が増えるのです。
もちろん、すべてのご要望がそのまま通るわけではありません。構造として成り立たないこと、法律で許されないこと、ご予算に収まらないこと。そういうときは、理由をはっきり申し上げます。大工として現場に立ってきた経験から言えば、無理を押し通した部分は必ずどこかにしわ寄せが出るものです。
そしてもう一つ。要望に優先順位をつけておいていただけると、判断がとても早くなります。ご家族の中で「これは絶対」「これはできれば」が共有されていると、迷いの時間が短くなります。
打ち合わせの前に、準備しておくとよいことは何でしょうか

図面の勉強をしていただく必要はありません。お願いしたいのは三つだけです。
一つ目は、今の暮らしの記録です。一週間でよいので、朝起きてから寝るまでの動きをざっと書き出してみてください。誰がどこで何をしているか。どこで渋滞しているか。それだけで、言葉にしにくかった不満が見えてきます。
二つ目は、ご家族の優先順位です。全員の希望を並べて、どれを上に置くかを話しておいていただく。打ち合わせの席でご夫婦の意見が初めてぶつかると、その回がまとまらずに終わってしまうことがあります。
三つ目は、資金計画の見通しです。ここは数字を正確に出していただく必要はありませんが、方向だけは早めに共有させてください。住宅ローンの金利は上がる局面が続いており、固定金利の引き上げが長く続いているとも報じられています。制度の側では、国が省エネ性能の高い住宅を支援するみらいエコ住宅2026事業を実施しており、国土交通省は省エネ基準をZEH水準へ引き上げる方針も示しています。ただ、金利の水準も補助の要件や金額も時期によって変わりますので、そのつど金融機関・公式窓口でご確認ください。私たちは設計と工事の側から、ご予算に収めるための選び方をご一緒に考えます。
まとめ

建築家と建てる家は、才能のある誰かが一気に描き上げるものではありません。暮らしの困りごとを言葉にし、骨格を決め、図面を細かくし、現場で形にする。その積み重ねでできていきます。住まい手にお願いしたいのは、専門知識ではなく、ご自身の暮らしを正直に話していただくことだけです。
薩摩川内市・姶良市は、台風が多く、夏は高温多湿で、風向きによって桜島の降灰も届きます。気象庁の発表では桜島の噴火活動は今後も続くと見られており、洗濯物や窓の開け方、外部の仕上げの選び方には、この土地ならではの考え方が必要です。そうした地域の条件も、打ち合わせの中で設計に織り込んでいきます。
姶良市のモデルハウスでは、図面では伝わりにくい天井の高さや光の入り方、空気の静けさを、実際に体感していただけます。打ち合わせの前にご覧いただくと、ご希望を言葉にしやすくなるはずです。どうぞ気軽にお声がけください。
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よくいただくご質問
Q. 建築家との打ち合わせには、何回くらい通うことになりますか。
A. ご計画の規模やご要望の数によって変わりますので回数をお約束はできませんが、暮らしの聞き取り、基本設計、実施設計と段階を追って進みます。段階ごとに決めることが決まっていますので、見通しを共有しながら進めてまいります。詳しい流れは家づくりの流れのページもご覧ください。
Q. 図面が読めないのですが、打ち合わせについていけるでしょうか。
A. 図面を読めるようになっていただく必要はありません。平面図のほかに、立体的に分かる資料もご用意して、暮らしの動きに置き換えてご説明します。分からないところはその場で遠慮なくお尋ねください。分からないまま先に進めないことが、いちばん大事だと考えています。
Q. 土地が決まっていない段階でも相談できますか。
A. はい、その段階からのご相談を歓迎しています。暮らし方の方向が見えていると、どんな土地が合うのかを逆算して考えられます。薩摩川内市・姶良市の土地は水はけや地盤、風の通り方がそれぞれ違いますので、暮らしの希望を先に持っておくことが判断材料になります。
Q. design casa はどんな商品ですか。
A. 建築家が設計を手がける商品です。当社は薩摩川内市・姶良市を中心に、この design casa を取り扱っています。建築家の設計と、設計施工の両方に責任を持つ体制を組み合わせているのが私たちの進め方です。詳しくはデザインカーサのページをご覧ください。
栄匠建株式会社(TOCRE-IE)について
栄匠建株式会社( TOCRE-IE/ツクリエ)は、鹿児島県薩摩川内市に本社を置く注文住宅の工務店です。大工出身の代表のもと、見えない部分まで手を抜かない家づくりを続けています。設計と施工の両方に責任を持ち、薩摩川内市・姶良市を中心に鹿児島県内で住まいづくりをお手伝いしています。姶良市にはモデルハウスがございます。
私たちの4つの強み
- 住まいの性能……高気密高断熱と計画換気(第一種換気)を土台に、鹿児島の気候に合う性能を考えます。
- 建築家と建てる家(design casa)……建築家が設計を手がける design casa を取り扱っています。
- 家づくりの流れ……ご相談から設計、工事、お引き渡しまでの段階をあらかじめ共有します。
- スタッフ紹介……設計と現場の双方の担当が同じ席で打ち合わせに加わります。
建築家と建てる家について、まずは資料をご覧ください
打ち合わせの進み方や design casa の考え方をまとめた資料をお送りしています。
姶良市のモデルハウスのご見学についても、あわせてご案内いたします。
栄匠建株式会社 古里 公司


